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邯鄲男(かんたんおとこ)

能「女郎花(おみなえし)」

 旅の僧の手折ろうとした女郎花(おみなえし)を咎める、ひとりの花守の男。小野頼風(おのおよりかぜ)と自ら名を明かして、契り交わした女の行き違いの末の身投げと、その屍を葬った塚から生い出た女郎花の花に、自責の思いを深め、自らも後を追った有様を語ります。やがて、僧に回向(えこう)を乞うと、供養を頼んで、自らも手を合わせます。
 面は邯鄲男(かんたんおとこ)を使い、すれ違う慕情の切なさに苦しむ男の哀惜が、眉頭や痩けた頬に、陰影となってあらわされているようです。

邯鄲男(角ノ坊作 桃山時代)

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