能「蝉丸(せみまる)」
盲目ゆえに逢坂山に捨て置かれた延喜帝の皇子蝉丸は、草庵で独り琵琶を奏で、わが身の薄幸さに袖を濡らします。その音を聴きつけた狂乱の姉「逆髪」との邂逅も束の間、別れ往く姉宮を惜しみながら、また琵琶と共に独り残される蝉丸。 面は「蝉丸」か「弱法師(よろぼし)」を用い、会者定離(えしゃじょうり)の無常さが伏せた視線の先に凝ってるようです。
弱法師(是閑吉満作 桃山時代)